お客さまに寄り添った料理作りを

子どものころから自ら進んで母親の料理の手伝いをしていたという内山さんだが、専門学校に入学が決まった高3の時から個人経営のフランス料理店でアルバイトを始めた。「私ひとりでホールを担当していたので、お客さまの食べているスピードを厨房に伝えたりする作業は、今の仕事にも生きる経験になりましたね。あとは私が調理の道に進むと聞いて、空き時間にデザートを教えてもらったりしてました」と語る。

学生時代の思い出を尋ねると「かっこいいことを言えるほど、真面目な学生じゃなかったですよ(笑)」と苦笑しつつも「挨拶の授業があったのは覚えてますね。今の職場の若いスタッフにも初めから高い技術は求めてないから、とにかく明るく元気で素直なことが大事だと教えています」。

総料理長として人材育成にも力を注いでいるという。「料理人にゴールはないので常に勉強だとは伝え、どこに巣立っても通用するような人材育成は心がけています。でも、昔はこうだったみたいな教え方はしないようにしていますね。私のころは先輩からレシピなんてもらえませんでしたけど、今はレシピや写真を配って勉強させてます。そういう時代に合わせた教育方針というのも必要だと思います」。

日々、横須賀ならではの食材を生かした料理を提供するが「漁港や畑にもよく行って、こだわりのある生産者とのつながりを大切にしています。料理は自信を持って提供していますが、答えを出すのはお客さま。作り手のエゴにならない、お客さまに寄り添った料理作りを心がけています...かっこいいこと言いました？(笑)」と笑いつつも、自信をみなぎらせた。